人間の証明
日曜日に鑑賞した「人間の証明」。
すっごく楽しみにしていた分、
不完全燃焼感が半端なかったよー(涙)
簡略されたストーリーになってて、
物語の重みが軽減されているように感じました。。
「人間の証明」っていうのは森村誠一原作の
1977年に映画化された角川作品です。
「人間の証明」
原作 森村誠一
監督 佐藤純彌
脚本 松山善三
出演 岡田茉莉子、松田優作、ハナ肇、夏八木勲、新見隆、ジョー山中等
公開 1977年(昭和52年)
配給 東映
時間 133分
登場するのは、過去に色々と想いを馳せる人物たち。
息子を捨て現在の地位に上り詰めた母親の過去。
捨てた母親をいまなお求める息子。
目の前で父親を殺された過去をもつ刑事。
ある事件をキッカケに、彼らの人生が交錯して物語が進行していきます。
事件の謎にせまるのは、松田優作演じる「刑事・棟居(むねすえ)弘一郎」。彼の執拗な追い込みに、欠けていたピースが1つひとつ埋まっていく。。
そこにあったのは、何か。
愛ってなんだ!
そんなことを考えさせられる名作映画でございます。
私が最初にこの作品を知ったのは、ある方に教えてもらったことがキッカケなんだ。
その方の話すストーリーに、私は引き込まれた。
なんて…なんて切ないストーリーなんだ!って、話を聞いていただけなのに、涙まで流しだす始末(笑)
それぞれの想いがすれ違って、
そんな結果になってしまうなんて…と、
やるせない気分となったんだ。
けど、とても現実に近い物語だなって感じた。
切ないけど悲しいけど、現実ってこうだよなぁって思ったんだ。
そしてさ。
物語全体を覆う西条八十の「帽子」っていう詩が、
も~たまらなく、はかなくて美しいんだよね!!
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帽子 西条八十
母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?
ええ、夏、碓氷から霧積へゆくみちで、
谷底へ落としたあの麦わら帽子ですよ。
母さん、あれは好きな帽子でしたよ、
僕はあのときずいぶんくやしかった、
だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから。
母さん、あのとき、向こうから若い薬売りが来ましたっけね、
紺の脚絆に手甲をした。
そして拾はうとして、ずいぶん骨折ってくれましたっけね。
けれど、とうとう駄目だった、
なにしろ深い谷で、それに草が
背たけぐらい伸びていたんですもの。
母さん、ほんとにあの帽子どうなったでせう?
そのとき傍らに咲いていた車百合の花は
もうとうに枯れちゃったでせうね、そして、
秋には、灰色の霧があの丘をこめ、
あの帽子の下で毎晩きりぎりすが啼いたかも知れませんよ。
母さん、そして、きっと今頃は、今夜あたりは、
あの谷間に、静かに雪がつもっているでせう、
昔、つやつや光った、あの伊太利麦の帽子と、
その裏に僕が書いた
Y.S という頭文字を
埋めるように、静かに、寂しく。
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映画公開時に用いられた有名な台詞。
「母さん、僕のあの帽子どうしたでせうね ええ、夏、碓氷から霧積へ行くみちで 渓谷へ落としたあの麦藁帽ですよ…」
当時、ジョー山中が歌う「人間の証明」のテーマソング(「Mama, Do you remember...」)は、この西條八十の詩を英訳したものらしいんだ。
胸が苦しいけど、本当に良い歌なんだわ。
今回のスペシャルドラマで残念だったのは、母親の最期が映画版と異なった点と、藤原達也演じる刑事の過去に対する心情が薄っぺらくなってた点なんだよー。
深みがなかったの。
ちょっぴり残念だけど、現代ではあれくらいの方が分かりやすいのかもなぁ。
何はともわれ、「人間の証明」をスペシャルドラマで見れるなんて思わなかったから嬉かったなぁ!
小説版も見てみようと想います!